- 革新者プロジェクト
- 革新者の5つの要素 【その1:当たり前を疑う】
- マーケティングで名もなき自治体から「母になるなら流山市」に
- 革新者の5つの要素 【その2:Needsを探すのではなく、Wantsを創造する 】
- 売れる本を売るのではなく、自分が売りたい本を売る
革新者プロジェクト
前例を打破した人、いわゆる革新的な人の共通項を探したり、革新者を集めて世の中を変えていくプロジェクトは出来ないのか、という研究、取り組みをやっている団体をご存知でしょうか。
野村総合研究所に「未来創発センター」というセクションがあります。その中に「2030年研究室」というのがあって、そこで、齊藤義明さんという人が「革新者プロジェクト」を推進しています。
先日、齋藤さんの話を聞く機会がありましたので、革新者プロジェクトについてレポートしたいと思います。
そもそも、「革新者プロジェクト」とはどんなものなのか。
世の中の様々な分野で、今までのやり方とは違う方法、ビジネスモデル、価値創造をしている経営者に実際に会って、対話して、そこで得た新しい価値の生み出し方、暗黙知をパターン化して社会に発信していく
革新的な経営者100人に会っていく中で、そのユニークなビジネスモデル達のパターンを見いだし、そして、革新的経営者をつないでネットワーク化し、地方創生までやってしまう、という素晴らしいプロジェクトなのです。
齋藤さんご自身も指摘されていたのですが、野村総研をはじめとしたシンクタンクは、世の中を様々な切り口で分析し、
- こんな状況です。
- こんな結果でした。
- こんな未来が予見出来ます。
というレポートして終わりであると。
もちろん、そういう役割を担っているのがシンクタンク(think tank)ですから、そういうものでしょうし、中にはレポートだけでなく、実行(価値創造)まで担うシンクタンクもあるとは思いますけど、少数なのでしょう。
齋藤さんが立ち上げた「革新者プロジェクト」は、革新者の共通項(成功パターン)をレポートするだけでなく、その「成功パターン」を活用して何か新しい価値を生み出そうとしているところが面白いですよね。
「転職」にも「現職の仕事」にもオーバーラップしてくる部分があり、「問題意識の持ち方」と「実際の行動次第」なんだなぁ、、とひとしきり感心していました。
革新者の5つの要素 【その1:当たり前を疑う】
革新者とされている経営者に共通する要素が 5つあります。先ず、大前提として、どの革新者も「0→1」のヒトであります。
「1→10」でもなく、「10→100」でもなく、事業を「0」から立ち上げる、「0→1」にガッツリ取り組んできた人ということですね。
革新者の5つの要素、
その1:当たり前を疑う
- 世の中の当たり前
- 会社の当たり前
- 日常の当たり前
- あたり前田のクラッカー
と「当たり前」に満ち満ちているのがこの世界です。
<詳しくはこちらをどうぞw→→→あたり前田のクラッカー 前田製菓>
その世の中の「当たり前」を受け入れて、「当たり前」の日常を過ごすのが私も含めた一般ピーポーなのですが、革新者は違います。
それは「本当に当たり前のことなのか?」とトコトンまでWHYを繰り返して、「当たり前」とされている現象の真因を探っていきます。
そもそも「当たり前」のこと過ぎて、一般人には疑問すら持たないようなことまでも「ホンマかそれ!!」と疑問を持てる視点が備わっているということですね。
マーケティングで名もなき自治体から「母になるなら流山市」に
千葉県の流山市はご存知でしょうか。
つくばエクスプレスが開通して都心から通い易くなりましたし、
「母になるなら流山市」
のキャッチコピーで一躍有名になりました。
その仕掛け人=革新者が流山市長の井崎義治さんです。2003年に流山市長に初当選してから、今日まで3期連続当選していて、ずっと改革を続けています。
ちなみに、流山市はこんな感じ
遠い昔、私が東京に出てきたばかりの頃、流山市に少しだけ住んでいたことがあったのですが、何か妙な縁を感じます。
井崎市長が何をやったのかについては大きく3つあります。
- 行財政改革と効率的経営
- 市民自治
- 流山市のマーケティング戦略
その中でも、これまで日本全国で名もなき流山市を、「母になるなら流山市」として有名自治体にしたマーケティング戦略が特筆すべきことですし、まさに「当たり前を疑う」ことをやってのけた証左でもあります。
ちなみに、その他実績としてはたくさん残されているのですが、例えば、
- 情報公開度 4年連続全国1位(全国市民オンブズマン連絡会議、2010、2011、2012、2013)
- 市民一人当たりの行政コスト:全国最小(日経グローカル、2006・2007)
- 人口増加率 千葉県1位/人口増加数 千葉県1位、全国10位(2014)
- 情報安全度:全国2位(日経グローカル、2010)
- 経営革新度:全国6位(日経グローカル、2014)
こんな感じです。詳しくは:井崎義治 - Wikipedia
人口減少が続く日本においては、同様に人口が自然に減少するばかりか、若者は都会に流出していき、お先真っ暗な自治体(名もなき)ばかりです。
その中で、流山市は人口増加、都心からも流入し続けていますし、魅力的な街づくりをされています。
普通の市長と言ったら語弊がありますが(最近はユニークな市長が少しづつ増えていますが)、そういう人たちは「どうやったら人口を増やすことが出来るのか・・・」という打ち手を実行していないばかりか、「うちは何もない自治体だから」といって、「当たり前」を「当たり前」に受け入れているだけです。
流山市も昔は本当に何もないところでしたから。それが井崎市長の推進力、巻き込み力で、ガンガン魅力な街になっていってますから。
改革を実行していく過程で、自治体の職員からの造反、離反、反発は凄まじかったようですが、清濁併せ吞み革新していく、まさに「革新者」というところ。
当たり前を疑うという視点、魅力的な街に成長させるという熱い想い、そして、それを実現する行動力を兼ね備えているところが井崎市長の革新者たる所以なのでしょう。
井崎市長が具体的に何をやっていったのかはこちらをどうぞ。
ちなみに、、魅力的な都市になりすぎて、人口流入が相当増え、若干住みにくくなっている声も聞こえてきているので、今後はそのあたりの革新も、井崎市長!是非よろしくお願いします!!!
革新者の5つの要素 【その2:Needsを探すのではなく、Wantsを創造する 】
革新者の5つの要素、
その2:Needsを探すのではなく、Wantsを創造する
です。
我々ビジネスマンは問題解決型の思考で、顧客のニーズを探したり、イシューや課題を設定したり、とにもかくにも顕在化しているNeedsに向き合いがちです。
例えば、よくあるフレームを使って何か事業を始めましょうとなった場合、
- WANT、CAN、MUST
- 面白い、可能、正しい
- 願望、技術、社会課題
我々一般人は
「MUST」・「正しい」・「社会課題」
から発想しますが、革新者は違います。
「WANT」・「面白い」・「願望」
から発想します。
何よりも先に、自分が欲しいと思えるサービスを創ろうとするんですね。
顧客の顕在化している「Needs」を探すのでなく、潜在的に眠っている世の中の誰もまだ気づいていない「Wants」を探す方法として、まず、自分が欲しいと思えるサービスを創るということですね。
売れる本を売るのではなく、自分が売りたい本を売る
一万円選書の「いわた書店」さんはご存知でしょうか。
北海道の砂川市にある町の小さな書店さんなのですが、そこの店主の岩田さんが一万円分の選書をしてくれるというサービスです。
選書をしてもらう前に、カルテと言われるA4三枚のアンケートに答えないといけません。
これが顧客の「Wants」を探る肝なのですが、岩田さんからしてみると、売れる本を売るのではなく、自分が売りたい本、顧客に読んで貰いたい本、顧客が今まで出会ったことが無い本を届けたいということですね。本当に良いサービスだと思います。
例えば、カルテにはこんな質問があるそうです。どれも自分の価値観が炙り出される質問になっていて、深く考えさせられます。
- 今まで読んだ本
- 生い立ちや職業
- あなたにとって諦めたくないこと
- 何歳のときの自分が好きか
- これだけはしないと決めていること
- あたなにとって幸せとは etc
「Needs」を探すのではなく、「Wants」を創造するというのは、岩田書店さんみたいなビジネスのことを言うのでしょうね。
今や、NHKのプロフェッショナルにも取り上げられてしまったので、一万円選書サービスを受けるにはなかなかの運が必要ですが、一度選んで貰いたいものです。
これまでの自分の人生で出会わなかった本を選んでくれるわけですから、ワクワクしますよね。
様々な出会いの中でも、良書との出会いは人生を変える力があると個人的に思っていますし、この一万円選書サービスを受けられた人の話を聞くと皆感動されているので、岩田さんはまさに革新者という訳ですね。
ちなみに、書店つながりで東京の江戸川区の篠崎に「読書のすすめ」という本屋さんがあります。
そこに名物店長の「清水さん」というがいらっしゃるのですが、何か悩みだったり、テーマをお伝えしたり、世間話から「こんな本はどうですか」とご提案をしてくれることもあるので、こちらもおススメです。
置いてある本にも独自性がありますし、POPもユニークで楽しい本屋さんです。久々に行ってみようかな。。
革新者シリーズ 後編に続く。