「革新者シリーズ」の後編です。
野村総研の「未来創発センター」の中に「2030年研究室」というのがあって、齊藤義明さんという人が「革新者プロジェクト」のリーダーをしています。詳細や前編についてはこちらをどうぞ。
- 革新者の5つの要素 【その3:同類とはつるまない】
- 革新者の5つの要素 【その4:マイナスをプラスに転じる】
- 革新者の5つの要素 【その5:ワクワク感を生み出す】
- 革新者のようにワクワクした仕事をするには
革新者の5つの要素 【その3:同類とはつるまない】
革新者とされている経営者に共通する要素、
その3:同類とはつるまない
です。
これだけだと分かりにくいのですが、要は、異なる領域から自ビジネスに活かせるものや面白い視点を得て、応用、発展させるということです。
同じ業界、同じ仲間だけとの付き合いだけでは、どうしても発想の枠が広がらないですからね。
「IKEUCHI ORGANIC株式会社」をご存知でしょうか。
タオルで有名な愛媛県今治のタオル屋さんなのですが、こだわりが半端無いですし、2代目社長の池内さんは、まさに革新者そのものです。
池内さんは元々はパナソニックでオーディオ機器に関わっていたのですが、お父様の急逝があり、33歳の時に家業のタオル業を継ぎます。
その当時のタオル業界は海外製の安いブランドが主流で市場環境は厳しく、池内タオル(当時名)はOEM生産がメインで他ブランド製品を作るのがメイン事業でした。
そんな中、販売先の卸問屋の倒産から池内タオルも連鎖倒産に陥り、民事再生法の適用を申請します。
会社存続の危機に瀕して、池内社長はOEM生産の他社ブランドから、売上1%にも満たない自社ブランドの販売をメイン事業に据える戦略へと舵を切り、様々な打ち手をガンガン実行していき、不死鳥のごとく蘇ります。
キーワードとしては、こんな感じ。
・遺伝子組換え(GMO)でない種を使い、3年以上農薬、科学肥料を使用していない畑で栽培されたオーガニックコットンを使用
・タオル業界として、初めてCADを導入して、企画→生産のスピードを上げる
・環境負荷を最小限に抑えるため、製織工場の使用電力を風力発電で(100%)
・「風で織るタオル」が様々な賞を総なめし爆発的にヒット
・ナガオカケンメイさんが会社全体のブランディングを担う
・東京、京都、福岡に直営店を展開
・「2073年までに“赤ちゃんが食べられるタオルを創る」という次の安全性基準を企業の行動指針として設定
これだけでも、ただのタオル屋さんではないことが伝わるとは思いますが、詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。(ドラマチック!)
例えば、こちらは「IKEUCHI ORGANIC」のタオルなのですが、まぁぶっちゃけ高いと思いますよね(笑)ただ、値打ちはあります! 実際に「IKEUCHI ORGANIC」さんのタオルを使っている、いちユーザーとしてそう思います。
お店でタオルを購入する時は、最初の手触り、肌触りの良さで選ぶのが普通ですよね。ただ、一般的なタオルは一度洗うとその心地よさって消えると思うんですよ。
が、「IKEUCHI ORGANIC」のタオルは違うんです。
最初の手触り・肌触りは、めっちゃええやん!と正直唸るほどではないのですが、使えば使うほど、不思議と状態が良くなっていくんですよね。
「出来るだけ長く製品品質が続くものをつくろう」というブランドコンセプトでやってらっしゃるので、最初は高く思えるかもしれませんが、長く使い続けられるモノなので、非常にお買い得ですね。
なんだか、タオルの紹介ブログになってきてしいました。。
「革新者シリーズ」として締めます。
革新者の共通項として前編で挙げた「自分の売りたいものを売る」がまさに池内社長のお考えだと思いますし、タオル業界から飛び出し「他の業界の知見を貪欲に取りに行き、自ビジネスに活かす」という部分が「同類とはつるまない」というところへ繋がっていくんだなぁ、と感じるところでした。
同じモノづくりの業界に身を置く人間として、一度は「IKEUCHI ORGANIC」さんの工場へも足を運んでみたいものです。
革新者の5つの要素 【その4:マイナスをプラスに転じる】
革新者の5つの要素、
その4:マイナスをプラスに転じる
です。
「とるに足らないもの」、「やっかいなもの」からプラスを得たり、そもそもの弱点や短所を強みや長所に転じさせて、ビジネスモデルを展開していくということですね。
ダイアログ・イン・ザ・ダーク
というソーシャルエンターテインメントをご存知でしょうか。
2017年までは東京の外苑前にそれを体験出来る施設があったのですが、今は諸事情で無くなってしまって、基本的には個人では大阪でしか体験が出来ないようです(法人の研修での利用は別途相談みたい)。
私は体験の機会を逃してしまいました・・・残念。。。
ここで、何が体験できるのかというと、
参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、グループを組んで入り、
暗闇のエキスパートである視覚障害者のアテンドにより、中を探検し、様々なシーンを体験します。その過程で視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、コミュニケーションの大切さ、人のあたたかさなどを思い出します。
ということなのですが、特筆すべきなのは視覚障害者がこのイベントでは気づきを与える存在になっていて、まさに「マイナス」を「プラス」にするようなビジネスモデルが設計されているということです。
世界41ヶ国以上、800万人以上がこのイベントを体験していて、何千人もの視覚障害者がこのフィールドで活躍されていて、こういうビジネスの設計は単純に素敵だなぁと思います。
もちろん、視覚障害者だけでなく、それを体験したユーザーにとっての学びが大きいからこそビジネスとして成功している訳で、再訪希望率95%以上という驚異的な実績も叩き出しているようです。
暗闇の中では、性別、年齢、容姿、障害、肩書きなど、すべて意味を失います。視覚障害者のアテンドに導かれ、女性と男性、新人と社長、障害者と健常者も、誰もが対等に対話できます。
自分を構成するペルソナが取り去られた先に、どんな自分が待っているのか(何も無かったりして・・・ww)一度は体験したいものです。
東京での開催が再開されることを熱望しております。
革新者の5つの要素 【その5:ワクワク感を生み出す】
革新者の5つの要素、
その5:ワクワク感を生み出す
です。
これについては、革新者であってあっても無くても言わずもがなです。仕事はお金を稼ぐだけのものと割り切る考え方もありますが、仕事は面白く、ワクワクしたものであった方がベターですよね!
以上、革新者の5つの要素でした。改めて、「革新者」について振り返ります。
世の中の様々な分野で、今までのやり方とは違う方法、ビジネスモデル、価値創造をしている経営者に実際に会って、対話して、そこで得た新しい価値の生み出し方、暗黙知をパターン化して社会に発信していく
そして、「革新者」には共通して見られる5つの要素がありました。
- 当たり前を疑う
- Needsを探すのではなく、Wantsを創造する
- 同類とはつるまない
- マイナスをプラスに転じる
- ワクワク感を生み出す
改めて羅列してみると何てことの無いものばかりなのですが、自分が関わっているビジネスにこれられの要素があるか、と言われれば、少しクエスチョンマークなのではないでしょうか。。。
「革新者」の手がけているビジネスには、これらの要素が上手くフュージョンしていて、どの事業も面白みを感じましたし、何よりも経営者自身(革新者)がイキイキしていて、仕事を楽しんでいられるのが印象的でした。
- 流山市
- 一万円選書
- IKEUCHI ORGANIC
- ダイアログ・イン・ザ・ダーク
革新者のようにワクワクした仕事をするには
弊ブログは転職ブログなので、転職軸に考えてみると、上記の5つの要素は、転職先を選ぶ基準としても使えると思いますね。
個人的に好きなのは、「Needsを探すのではなく、Wantsを創造する」という要素でしょうか。
マーケットにいるユーザーの「Wants」を探すという発想ではなく、自分が欲しいと思えるサービス、商品を世に出したら、それが結果的にユーザーの「Wants」であり、「Needs」にもなっていく理想的なビジネスの展開である、と感じ入る所が多くありました。
「好きなことを仕事にしよう」という転職軸は昨今の流行りではありますが、同時に普遍的な考え方であるとも思います。
自分がやりたい仕事や、自分が世の中に生み出したい企画・商品・サービスについて、現職で関わられたらそれがベストですが、いやいや、難しいよ・・・ということであれば、転職先にそれを見い出していくことがますます重要になってくると思います。
今、
「貴方は何がしたいんですか?」、そして「何が出来るんですか」
と問われてすぐに答えれる方は、自分の仕事の価値判断基準が明確になっているはずなので、現職でやり切るのか、それとも転職先を探すのか、もしくは起業するのか、という3つの選択肢のどれを選ぶかですね(組み合わせもあり得るけど)。
すぐに答えが出ない方は、この転職ブログでお伝えしているテーマでもありますが、
現職の仕事をしっかり続けながら、いつでも転職できる
というオプションを常にキープしておくことが、とてもとても大切なポイントです。
例えば、自分の転職(労働)市場でのマーケット価値を常に把握し、現職でも面白い仕事をするのはもちろん、もっと面白い仕事をしたくなってきた時や、仕事のマンネリ化、飽きが来た時に、用意してあった転職のカードを切るというイメージです。
転職カードをいつでも切れるようにするには、
- 自己分析
- キャリアの棚卸
- 市場価値の把握 (自身の市場価値が把握出来るサービスですので試してみてください→ミイダス)
- 転職エージェントとのつながり
これらに満遍なく取り組んでおく必要があります。
自分はどんな仕事をしている時がワクワクしているのかを改めて振り返り、「転職」というオプションを手に入れる為に、転職活動を始めてみるのはいかがでしょうか。