AIが仕事を奪う日が来ると世間で騒がれてはいますが、友人・知人の間で実際に仕事をAIに奪われて職を失ったという話は今のところ聞いたことがありません 笑。
ただ、大なり小なりその日は確実に来るのだと思いますが、我々サラリーマンの仕事を、そっくりそのままAIがやれるのかと言えば、結論は難しいと言えます。
では、どんな仕事がAIに取って代わられるのかについて、私の見解を書いてみたいと思います。
転職のみならず、どの業界のどんな仕事に就いていても、関わってくるテーマですので、ご参考までにお読み頂ければと思います。
- 仕事はAIに取って代わられるのか
- AI・マシンラーニング・ディープラーニングとは
- AI・マシンラーニング・ディープラーニングの定義
- 「雇用の未来」の論文で言及している「コンピューター」とは、実は「マシンラーニング」のことだったのです・・・
- マシンラーニングに自動化される仕事、業界はこれ
- 「AI」はルーチン業務を、「人間」は非ルーチン業務を
- 今のあなたの仕事は「AI」が代わりにやれるもの?「AI」がやれないもの?
仕事はAIに取って代わられるのか
この論文が当時(2013年)話題になりました。オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーンさんとカール・ベネディクト・フライさんとで発表した論文「未来の雇用」です。
その論文で、米国において、10~20年内に労働人口の47%(の仕事)が、コンピュータ、機械<※論文では computerisation>に代替されるリスクは70%以上という推計結果を発表をして一大センセーションを巻き起こしました。
論文を詳しく知りたいという方はこちら↓をどうそ。原文です(笑)。冒頭少ししか読んでいませんが、論文ですのでかなりの骨太ちゃん。
THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION? Carl Benedikt Frey and Michael A. Osborne
September 17, 2013
https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf
AI・マシンラーニング・ディープラーニングとは
なかなか凄い結果ですよね。米国の話であるとはいえ、「今の仕事の半分をAIがやってくれはるのん」というわけですから・・・・
では、具体的にどんな仕事がAIに狙われているのか!という話に行く前に、基本的な用語の確認をしておきましょう。
AI(人工知能)、マシンラーニング(機械学習)、ディープラーニングの違いは分かりますか。ここを抑えておかないと、どんな風にAIやコンピューターが仕事を奪っていくのかがイメージできません。
詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。分かり易くまとめてくれています。
全体像はこんな感じ。AI⊃機械学習⊃ディープラーニングですね。
「AI」が包括的な概念で、その次に「機械学習」が出てきて、最後に登場したのが、「ディープラーニング」という概念です。
そもそも、「AI」とは、あたくし達人間と同じ考え方やアウトプットが出来るコンピュータを創ろうという発想ですね。
しかしながら、それを実現するのは非常に難しい為、特定の事象、タスクについて、コンピュータ化をしたのが、「マシンラーニング(機械学習)」。
でも、マシンラーニングは人によるタスクの定義付が必要なので、色々面倒くさいよね~というわけで、その定義付すら自分で実行できるように開発されたのが「ディープラーニング」という話です。
AI・マシンラーニング・ディープラーニングの定義
各概念をざっくりと説明します。まず「AI」から。
「Artificial Intelligence(アーティフィシャル インテリジェンス)」の略で、人工知能のことです。人間の知能をコンピュータが模倣し、システム化することを人工知能といいます。まさに、人間の知能そのものを実現させよう、という技術や包括的な概念のことです。
次は「マシンラーニング(機械学習)」です。世の中の特定の事象についてデータを解析し、その結果から学習して、判断や予測を行うためのアルゴリズムを使用する手法だといえます。人間が特定タスクの定義付けや考え方をインプットさえすれば、機械がその要領でトレーニングを重ね、タスクを実行するというものですね。
そして、「ディープラーニング」です。機械学習に必要な特定タスクの定義付けや考え方のインプットを、コンピュータ自ら実行するところがこいつの凄いところ。マシンラーニング(機械学習)との違いは、人による特徴、定義付けの必要が無いというところですね。
「雇用の未来」の論文で言及している「コンピューター」とは、実は「マシンラーニング」のことだったのです・・・
こ3つの概念を分かり易く例えてみましょう。目の前に「赤いポスト」があるとします。「AI」は人間同然なので、それが「赤いポスト」であるとすぐ認識できます。
「マシンラーニングの場合は、「赤いポスト」や「青いポスト」の画像を大量に読みこませ、その時に形や色に着目するという定義付けをすることで、その判別が出来ます。
「ディープラーニング」の場合は、形や色に着目するということ自体を自ら学び得て、判別するということですね。
上述した「オズボーン博士」は、実は「マシンラーニング」の専門家なのですが、ということはですよ。みなさん!?
「コンピュータが人の47%の仕事を奪うという意味」は、「AI」でもなく、「ディープラーニング」でもなく、「マシンラーニングが47%の仕事を奪う」という意味だったという訳であります。
ここまでの結論を持ってくるのに少し時間がかかってしまいました。。
マシンラーニングに自動化される仕事、業界はこれ
では、マシンラーニング(コンピューター)に取って代わられる仕事とはどんなものが挙げられるのか。例えば、
銀行の融資担当者
不動産のブローカー
保険の審査担当者
電話オペレーター
レジ係
カジノのディーラー
パラリーガル、弁護士助手
データ入力作業員 等
現在、これらの仕事に就いている人は将来が心配になってくるかもしれません。。さらに 詳しく知りたい方はこちらを参照ください。少し昔の記事ですが・・
さて、これらの職業に就いている人は「チーン・・」という感じになってしまうと思いますが、安心してください!
この「雇用の未来」の論文をもう少し詳しく読み込むと、希望が見えてきます。仕事を奪うとされている「AI」や「マシンラーニング」、また「コンピューター」や「ロボット」がやろうとしてのは「業務の自動化」の推進なんですよ。
端的にいうと、置き換え対象の業務とは「ルーチンワーク」のことを指していて、ロボット(便宜上、ロボットで統一します)により自動化し易い分野については仕事が無くなるぜ、とオズボーン博士は声を大にしてワーワー言うてはる、という訳でございます。
なので、上記の仕事に就いていても「ルーチンワーク以外」の仕事なのであれば、まだ大丈夫!と言えると思います。
また、上記の無くなる仕事リストや昨今の時代の流れを鑑みると、
- 運輸を中心とした物流の仕事
- ルーチン化されているサービス業全般
このあたりの仕事はロボットの大好物だと思うので、この業界で今働いている人、この業界に転職を考えている人は、再考した方が良いかもしれません。
「AI」はルーチン業務を、「人間」は非ルーチン業務を
そろそろ、本記事も終わりにしたいと思います。私なりの結論を申し上げます。
「AI」が仕事を奪うではなく、
「AI」が人間の代わりにルーチン業務やってくれる時代になるので、人間はそれ以外の仕事に集中できる
ということであります。
正確には「AI」とは、「機械学習(マシンラーニング)」のことを指していますけど、ざっくりコンピュータ(ロボット、bot)として捉えて頂いてOKです。
オックスフォード大学のオズボーン博士の論文の中で「AI」が人間の代わりに仕事をする時代がくる、という検証を重ねています。
米国において、10~20年内に労働人口の47%(の仕事)が、コンピュータ、機械<※論文では computerisation>に代替されるリスクは70%以上という推計結果
そして、この結論を導くために、仕事を3つの切り口で分析しています。
- social skill(社会的知能)
- creativity(創造性)
- perception and manipulation(知覚と操作)
つまり、この値が低い仕事は、「ルーチン業務」と言えるので、「AI」が人間の代わりになるという論になるわけですね。
具体的に言うと、例えば下記の仕事です。もちろん、同じ仕事の中でも、「ルーチンでは無い業務」もあるでしょうから、あくまでも参考程度にみておいてください。
銀行の融資担当者
不動産のブローカー
保険の審査担当者
電話オペレーター
レジ係
カジノのディーラー
パラリーガル、弁護士助手
データ入力作業員 等
逆に考えると、 この3つの値が高いものはどうやっても「AI」には置き換えられない、とも言えるわけなので、我々、人間はこの能力を高めていく必要があるわけですね。
例えば、「非ルーチン」の仕事を「ルーチン」で流れるように整えて、仕組化する
という仕事は、「AI」には出来ない人間の仕事なので、仕事の仕組み化が出来る人は市場価値が高く、職に困らないでしょう。
また、「社会的知能」を別の言葉に置き換えると「コミュニケーション」とも言えるので、高い対人能力が求められる「営業」の仕事は価値が高いと思います。
「創造性」に関して言えば、アーティスト、建築家、プロデューサー、デザイナー、マーケターなどのクリエイター系の仕事が当てはまりそうですね。
今のあなたの仕事は「AI」が代わりにやれるもの?「AI」がやれないもの?
「AIが仕事を奪う日がくる」と、まことしやかに巷で言われていますが、もしかしたら、「AIを使いこなす」ぐらいでないと、飯が食えない時代になってきたのかもしれません。
ただ、そんな時代でも、高いコミュニケーション能力(社会的知能)と、高いクリエイティブ性(創造性)があれば、何処まで「AI」が進化したって、自分の仕事がAIに置き換えられることはありません。
ポイントとしては、今、自分がやっている仕事は「AIと代替可能なレベルのもの」か否かということかなと改めて感じました。
今のあなたの仕事は「AI」がやれるものですか?「AI」がやれないものですか!?
今回のテーマは転職から少し外れてしまいましたが、ご自身の仕事を振り返るきっかけとなれば幸いです。
ちなみに、「自己分析」や「キャリア棚卸」のやり方が分からないという方は、下記記事を参考にしてみてください!