転職を繰り返していると、自分にとっての理想の組織だったり、自分に合うベストな働き方がだんだん分かってきます。
ポイントは「自分にとっての」で、自分の理想の組織は、自分で正解を見つけ出すしかありません。
とはいえ、皆にとってのストライクゾーン、最大公約数はあるとは思うので、そのあたりを本記事で書いていきたいと思います。
理想の組織って言われてもピンとこなかったり、そもそもそういう疑問を持ったことが無い人はぜひお読みください。
- 理想の組織とは心理的安全性が担保されていること
- マネジャーはチームのコーディネーターに徹する
- チームのパフォーマンスを上げる手法の1つは「1on1ミーティング」
- OKRと質の高い雑談
- 高い質問力が良い雑談につながる
理想の組織とは心理的安全性が担保されていること
唐突ですが、ピョートル・フェリクス・グジバチ氏の名前は聞いたことありますか?「ニューエリート」という本を出している方なのですが。
キャリアとしては、モルガンスタンレー → グーグル → 起業という感じの人で、めっちゃ外人なのですが、日本語はペラペラです!
そのピョートルさんの話を実際に聞く機会があり、「理想の組織」についてアレコレ仰っていたので、その時の話も踏まえてお伝えしていきます。
本も良き内容だったのでぜひ参考にしてください。新しい働き方の価値観がインストールされると思いますよ。
最初に結論です。「理想の組織」に必要なものの1つは心理的安全性です。
あなたの属している組織に「心理的安全性」がちゃんと担保されていれば、「理想の組織」にかなり近いと言えます。
ちなみに、「心理的安全性」とはもともとは心理学の用語なのですが、Googleがチームで成果を上げる為に必要不可欠な要素だと発表してから、市民権を得た用語ですね。
意味としては、メンバー1人1人が不安、恐れを感じることなく、安心して発言・行動できる状態のことです。
では、「心理的安全性が担保されている」とは具体的にどんな状態かというと、
- マネジャー含めたチームメンバー間で、本音で語れる信頼関係がある状態
- チームやメンバーのゴール設定、役割が明確であること
この2点を満たしている必要があります。
上記を満たしている組織は、自律的に動ける組織であるとも言えるし、メンバーが自分の仕事に集中できているはずなので、組織としての成果は上げやすいと考えられますよね。
そして、このチーム状態をどう実現すればいいのか?が次の問題になります。当然、自然発生的に生まれるものではないので。。
結論です。それは、全てマネジャーの力量次第なのです。マネジャーは大変です(笑)
過去の経験からいっても、優れたマネジャーがいる組織とそうでない組織とでは、組織の一体感が全然違いました。
マネジャーはチームのコーディネーターに徹する
優れたマネジャー像の前に、優れたチームの特徴を考えたいと思います。
「優れたチーム」は、自分の為がチームの為に繋がっていて、自分の頑張りがチームの成長に繋がるという好循環があるのが特徴。
「悪い(普通)チーム」は、チームの為に自分が頑張ることが、自分の成長に繋がるという、チームありきの思考なので、自分の頑張りが最大限まで出ないので好循環にならないのが特徴。
これが、私が考える優れたチームとそうでないチームの特徴です。
また、現在の組織人の価値観の特徴として、「まず自分ありき」の世界がより強くなってきていると感じています。
チーム以前に、自分の理想の働き方を追い求めている人がほとんどだと思いますし、私もそう強く思います。
ひと昔前は、自分を殺して、会社に完全に依存するのが理想の働き方でしたけど、今は真逆の様相でございます。
従って、個人主義が強いメンバーが多くなってきているという前提でチーム運営は組み立てた方がベターなのだと思います。
では、そんな個人が集まったチームの運営について、マネジャーはどうすべきなのか?と。
ここで、ピョートル氏に登場してもらいます。彼はある1つのガイドラインを提示しています。
結論としては、
マネジャーはコーディネーター役に徹しろと。
つまり、個人の育成やチーム作り等のコーディネーションがマネジャーの業務であって、その結果、チームのパフォーマンスが最大になるんだと。
日本の組織にありがちな、マネジャー自身が数字を追いかけ、同時に、チームマネジメントもするプレイングマネジャーは組織体制としてダメだということですね。
ピョートル流でいうと、メンバーが活躍できるチーム作り、そして、チームが最大のパフォーマンスを生み出せるか否かは、全てマネージメントにかかっているということであります。
チームのパフォーマンスを上げる手法の1つは「1on1ミーティング」
では、優れたチームの組成、運営には何が必要なのという話でございますが、
鍵は「1on1ミーティングにあるのでは」
とピョートル氏は提言しています。その言葉通りなので説明不要ですが、マネジャーとメンバーが1対1で面談をすることです。まさに1on1(笑)
元々は欧米の企業でのマネジメント手法ですが、最近は日本でも取り入れる企業が増えていますよね。
注意しないといけないのは、1on1ミーティングをやりさえすれば、チームのパフォーマンスが上がるのか?と言えば、そんなことはあり得ませんからね!!
ありがちな話ですけど、こういう新しいマネジメント手法や、最近では「AI」や「RPA」等、何か新しい仕組み・システムを導入しただけでは組織は何も変わらないですし、むしろ、導入した結果、現状よりも余計に悪化するケースもあり得ると思います。
新しい手法、仕組み、システムは導入後の運用こそが肝ですから、うまく運用出来る明確なイメージが無い場合は、お見送りした方がまだ良いのかもしれません・・
1on1ミーティングに話戻します。今までこの手のミーティングを実施したことが無い組織が、単純にやったところで上手くいかないのはご想像通りでございます。
言わずもがな、マネジャーとメンバー間での様々な会話が無い状況下で、「よし、今日から1on1やるから!」って言われてもねぇ。
お互い当たり障りのない話しかできずに終わるのが関の山でしょう。。
要するに、「心理的安全性」が無い状態で、1on1をやってもこの手法は成り立ちません。
欧米ではうまくいったマネジメント手法なのに、日本では何故上手くいかないのか?それは、企業文化の差だと考えられます。
米企業はOne on Oneという上司と部下の一対一の面談機会を持つのが流行りだけど、日本だと運用に注意必要。日本人ってそもそも普段から職場で本音言ったり議論しない人多いので、そういう人が上司との一対一の面談で本音言うわけないんですよね。その構造理解してないと実態を見誤る。
— とくさん (@nori76) March 5, 2019
いきなりのTwitterの引用で恐縮ですが、企業文化の差を端的に伝えておられるので、紹介しました。
そうなんです。普段から本音を言ったり、雑談したり、お互いの価値観を言葉でもって共有出来ていないチームが、いきなり1on1ミーティングをやろうとしても、実際は難しいんですよ。
肝は、いきなり、1on1をやるのではなく、その前に少し工夫する必要があるのです。
OKRと質の高い雑談
それは、「OKR」と「質の高い雑談」です。これが肝なのであります!
「OKR」は「目標と結果」のことです。「会社の目標」と「個人の目標」、「会社の価値観」と「個人の価値観」が一本の線でつながっているイメージで、数値目標等ではない定性的な面を重視したもののことです。
OKR(詳しくはこちら)
OKRとは? 【Google、Facebookが使う目標管理ツール】KPI・MBOとの違い、導入・運用・目標設定方法について解説 - カオナビ人事用語集
具体的にいうと、「1on1ミーティング」では、マネジャーがメンバーとチームの「OKR(目標と結果)」をブラッシュアップしていきます。
「OKR」は、人生観や価値観が入ったものですから、マネジャーが、メンバー1人1人の信念や価値判断基準を知らないことには何も始まりません。
そして、OKRを創り上げるのに必要なものが、「質の高い雑談」であります。雑談に質の高低があったんかいなと(笑)思ってしまいますが、あるんですよ!例えば、
「週末は趣味で野球をやっているんだってね?」
「そうなんですよ。草野球レベル以下ですけど・・」
「野球が好きなの?」
「はい。小学校から大学まで野球をやっていまして、それに、両親が大の巨人ファンでして」
ささいな雑談なのですが、野球をやるにいたった背景、どんな両親かという情報が、そのメンバーの価値観とつながってくる部分があるので、追々この情報が活きてくる可能性があります。
「週末は趣味で野球をやっているんだってね?」
「そうなんですよ。草野球レベル以下ですけど・・」
「体動かすの好きなんだね」
「はい。そうですね」
これだと本当にただの雑談なので、活きた情報は取れておらず、ただのしゃべくりになっています。ただのしゃべくりか否かは、「質問力」がポイントです。
高い質問力が良い雑談につながる
「どうして」、「何故」、「いつから」、という雑談の根拠となる価値観に上手く触れていくのが「質の高い質問」です。
いろんなマネジャーを見ていて思うのは、「質問力」が高い人は「自己開示」が上手いですし、普段の仕事ぶりも尊敬できるところがあると感じています。
最後にもう一回ピョートル氏に登場してもらいます。
『facebook社での聞き取り調査によれば、「3人に1人がマネジャーに本音を言うべきではない」と考えているという驚きの実態があります。要は、マネジャーは信頼されていない』ということらしいです。
信頼に足るか足らないかは普段の仕事ぶり、組織での立ち居振る舞いが大きく影響してくるところがあると思うので、いきなり「1on1ミーティング」を始めたからといって、メンバーと本音で語れる訳ではないし、チームパフォーマンスもすぐに上がるわけではないということです。
ただ、「質の高い雑談」が、メンバーの価値観に触れていける効果的なやり方ではあると思うので、マネジャーが意識して雑談を初めてみるのはいいことだと思います。
本記事を書いてて思いましたが、高い雑談力は持っておいて損は無いですね。できる営業マンは雑談が上手かったりしますよね。
そろそろ本記事も終わりにしたと思います。
理想の組織とは何ぞやというテーマでここまで論を展開してきましたが、纏めますと、
- 「理想の組織」に必要なのは「心理的安全性」
- 組織に「心理的安全性」もたらすのはマネジャーの役割
- 組織運営には「1on1ミーティング」を取り入れるのが効果的
- 「1on1」をワークさせるには、「OKR」と「質の高い雑談」が必要
となります。
肝心要はマネジャーの能力や考え方ですので、マネジャーの皆様は大変でございます。
現在、メンバーである皆様においては、例えば、転職先の組織運営について、面接の場で上記ポイントをおさえた質問をされると、どんな組織なのかが垣間見えると思うので、ぜひ、参考にしてください。
入社してから、やばい組織、チームに入ってしまったでは遅いですからね。入社前に根掘り葉掘り質問するのがベターですよ。
ちなみに、私は面接時に、会社全体やチームの雰囲気を掴むために、「雑談の有無や頻度」についての質問は必ずしていましたね。あと、マネジャーがどれぐらいメンバーのことを把握しているとかも。
雑談の頻度が少なそうとか、メンバーの情報の粒度が粗いとかであれば、「その会社・チームの雰囲気は悪いんじゃないかな」という判断をしていましたよ。
「理想の組織」というと、もっと綺麗な高嶺の花を想像された方もいるかもしれませんが、本記事では、かなりリアルな組織の話になってしまいましたね (笑)
ただ、「心理的安全性」がない「理想の組織」は成立しないと思うので、自分にとっての理想の組織を考える時に、本記事が参考になれば幸いです。
他にも、転職候補先(理想の組織?)をどういう観点で分析したらいいのか迷われている方は、こちらもご覧くださいね。